コラム
整骨院の経営が厳しい理由とは?業界の現実と生き残り戦略を徹底解説
2025.8.22

整骨院の経営が厳しい理由とは?業界の現実と生き残り戦略を徹底解説
近年、「整骨院の経営は厳しい」と耳にする機会が増えています。新規開業してもすぐに閉院するケースや、患者数の減少に悩む院も少なくありません。
この記事では、整骨院経営が厳しいとされる理由を業界構造の変化や統計データから丁寧に紐解き、成功するための対策や事例も交えて詳しく解説します。
整骨院業界で生き残っていくためには、正しい現状認識と柔軟な対応力が必要です。経営に悩む院長や開業を目指す柔道整復師の方にとって、実践的なヒントになる内容です。
整骨院の経営が厳しいと言われる理由とは?
整骨院の経営が厳しいとされる背景には、収益構造や集客力の低下、サービスの差別化の難しさといった、複数の要因が複雑に絡み合っています。
収益構造が不安定になってきている
かつて整骨院は、健康保険を利用して一定の安定した収益が見込めるビジネスモデルでした。しかし現在では、保険請求の審査が厳しくなり、保険収入に依存するリスクが高まっています。
一方で、自費メニューを導入しても患者に理解されにくく、価格競争に巻き込まれるケースもあります。
結果として、毎月の収益が予測しづらくなり、経営計画が立てづらくなっているのです。
収益構造の不安定さは、経営の根幹を揺るがす深刻な問題です。
新規患者の集客が年々難しくなっている
以前はチラシや看板で一定数の新規患者が見込めましたが、今では競合が増えたことで、「選ばれる整骨院」になる必要性が高まっています。
ネットでの検索対策(SEO)やMEO、SNS活用が必要ですが、それらのノウハウを持たない経営者も多く、集客が頭打ちになっているのが現実です。
患者のニーズも多様化しており、「痛みを取る」だけでは来院に繋がりにくくなっています。
継続して患者を増やすには、マーケティングの知識と戦略的な集客が不可欠です。
技術や接客だけでは差別化できない
柔道整復師としての技術や丁寧な接客はもちろん重要です。しかし、それだけでは他院との違いを出すことが難しくなっています。
最近では、国家資格を持たない整体院やマッサージ店も多く、価格を武器に集客しているため、技術だけで勝負するのは限界があります。
患者は「どこに行っても同じ」と感じやすく、リピートにつながりにくい状況です。
差別化には、施術だけでなくカウンセリング力や、院のブランドづくりも求められます。
整骨院の経営が厳しい背景にある業界全体の変化
整骨院経営が難しくなった背景には、業界全体の急激な変化があります。特に店舗数の増加や他業種との境界の曖昧化が大きく影響しています。
コンビニより多い店舗数で過当競争になっている
整骨院の店舗数は年々増加しており、全国で5万軒を超えるとも言われています。実際には、コンビニよりも多いというデータも存在します。
これだけ多くなると、地域ごとの競争は非常に激しくなり、特に都市部では数百メートルおきに整骨院がある地域も珍しくありません。
患者の取り合いが起きることで、価格競争やサービスの過剰提供が発生し、利益が出にくくなります。
店舗数の多さは一見活気に見えますが、実は経営を圧迫する要因となっています。
整体やマッサージなど他業種との境界が曖昧になっている
整骨院だけでなく、整体院やリラクゼーションサロン、スポーツマッサージ店なども増えています。
これらの店舗は国家資格がなくても開業できるため、参入障壁が低く、価格も安く設定されがちです。
そのため、一般の患者にとって「違いがわかりにくい」状況が広がっています。
国家資格を活かした専門性を伝える工夫がなければ、整骨院としての強みを感じてもらえません。
自由診療と保険診療のバランスが崩れてきている
整骨院の経営は、保険診療と自費診療のバランスが重要です。しかし近年、保険診療の制限強化により自費診療への依存が高まっています。
自費メニューは収益性が高い一方で、価格設定や内容に納得してもらえないと、継続利用してもらえません。
このバランスを誤ると、患者離れを引き起こしやすくなります。
制度の変化に合わせて、メニュー構成や価格の見直しが求められています。
整骨院の経営が厳しいとされる主なデータ・統計から見る実態
実際に整骨院の経営が厳しいことを示す統計データがいくつか存在します。現実を数値で把握することは、的確な経営判断に役立ちます。
厚生労働省の統計で整骨院の増加が明らかになっている
厚生労働省の調査によれば、柔道整復師の資格保有者数と整骨院の開業数は年々増加しています。
2020年以降も増加傾向が続いており、それに伴い一院あたりの患者数は減少傾向にあります。
供給過多による影響が大きく、競争が激化しているのは明白です。
このようなデータは、新規開業や経営戦略を練る上で重要な参考情報となります。
1院あたりの平均月収が年々減少している
日本政策金融公庫や各種業界団体のデータによれば、整骨院の平均月収はここ10年で確実に減少しています。
特にコロナ以降は、来院数の減少や施術単価の下落が直撃しました。
収益減少が続くことで、人件費や家賃を賄えなくなり、閉院するケースも目立っています。
安定した収益を確保するためには、価格設定やリピート戦略の見直しが必要不可欠です。
閉院数が開業数を上回る年も出てきている
整骨院の開業数は依然多いものの、閉院する院の数も増加しており、開業数を上回る年も存在します。
これは経営が軌道に乗る前に資金ショートや集客難により、廃業に追い込まれる院が多いことを示しています。
この事実は、開業に対する「夢」と現実のギャップが広がっていることの証明とも言えるでしょう。
長く続く院には、それ相応の経営努力と工夫があります。
整骨院 経営 が厳しい原因3選
① 競合の増加と差別化の難しさ
整骨院業界が抱える大きな課題の一つは、同業者が急増していることによる競合の激化です。開業しやすくなった反面、差別化の難易度が上がっています。
都市部に同業者が集中している
特に東京や大阪などの都市部では、駅の近くや人通りの多いエリアに整骨院が集中しています。
患者からすれば、選択肢が多いことはメリットですが、経営者からすれば競争相手が多すぎて価格競争に巻き込まれやすくなります。
都心部で生き残るためには、他院にはない独自の魅力を打ち出す必要があります。
立地だけで集客できる時代は終わりつつあり、マーケティングやブランディングが不可欠になっています。
開業のハードルが下がり、新規参入が増えている
近年は整骨院の開業に必要な設備や資金のハードルが下がっており、若手や副業希望者の開業も増えています。
フランチャイズやコンサル会社が提供する「開業パッケージ」も整っているため、手軽に開業できるようになっています。
その結果、供給が需要を大きく上回る過当競争の状態に陥っているのです。
ただし、開業は簡単でも、継続して利益を出し続けるのは別問題です。
料金やサービスで差別化するのが限界に近い
多くの整骨院が価格やサービス内容で差別化しようとしていますが、その方法には限界があります。
安売りをすれば利益率が下がり、スタッフの待遇やサービスの質にも影響が出ます。
また、サービス内容も他院と似通っていることが多く、患者にとっては選ぶ決め手に欠けるのが現状です。
真の差別化には、施術の結果だけでなく、院全体の雰囲気や接客、通いやすさ、安心感といった「体験価値」の向上が求められます。
② 保険制度の見直しと影響
整骨院経営において、保険制度の改正は非常に大きな影響を及ぼします。近年は特に、保険請求の厳格化や施術範囲の見直しが進められています。
柔道整復師の保険請求が厳格化されている
厚生労働省の指導により、柔道整復師による保険請求の要件が厳しくなっています。
特に、慢性的な肩こりや腰痛などの症状は保険適用外とされることが多く、患者から「保険が使えないなら通えない」と言われるケースも増加しています。
その結果、自費施術への切り替えを余儀なくされる院も多く、売上の変動が大きくなっています。
制度に依存せず、価値を感じてもらえる施術の提供が求められます。
不正請求対策で監査が強化されている
一部の整骨院による保険の不正請求が問題視されたことで、保険者による監査や指導が強化されています。
適正な施術記録やレセプトの記載が求められ、記録業務の負担が大きくなっています。
監査に対応できなかった場合は返金や業務停止処分を受けるリスクもあり、経営へのダメージは甚大です。
コンプライアンスを守った経営が、今後ますます重要になります。
保険対象の施術範囲が限られている
健康保険が適用される施術範囲は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などに限定されています。
しかし、来院する患者の多くは慢性的な肩こりや腰痛といった症状が中心です。
これらの症状に対しては、保険では対応できず、患者負担が大きくなってしまいます。
その結果、患者が離れたり、価格に敏感になったりするなどの影響が出ています。
③ 人手不足と採用の難しさ
整骨院業界では、慢性的な人材不足も深刻な課題です。特に若手柔道整復師の確保や、スタッフの定着に苦労する院が増えています。
若手柔道整復師の数が減少している
少子化の影響もあり、柔道整復師の資格取得者数は減少傾向にあります。
また、学校を卒業しても業界への就職を選ばない若者も増えており、整骨院で働きたいと思える環境づくりが求められています。
労働時間の長さや休日の少なさが敬遠される原因にもなっています。
働き方改革や福利厚生の充実が急務です。
スタッフの定着率が低い
整骨院は技術職でありながら、労働時間が長く、給与水準も高くはありません。
そのため、スタッフが短期間で辞めてしまうケースも多く、常に人材募集をしている院も珍しくありません。
スタッフの教育コストや引き継ぎの負担も経営を圧迫する要因です。
やりがいを持てる職場環境の整備が求められます。
資格取得者の進路が多様化している
かつて柔道整復師の資格を取得した人は、整骨院での勤務や開業を目指すのが一般的でした。
しかし現在では、スポーツトレーナー、福祉施設、整体院など、他分野への進出も増えています。
その結果、整骨院で働く人材が不足し、質の高いサービスの提供が難しくなっています。
人材確保には、働きがい・将来性・報酬のバランスが重要です。
整骨院 経営 が厳しい時代に生き残るための対策とは?
厳しい経営環境の中でも、適切な対策を講じれば十分に生き残ることは可能です。集客、サービス、経営の各側面から戦略を見直すことが必要です。
SNSやMEOを活用した集客に取り組む
現代の患者は、整骨院を探す際にGoogleやSNSを活用することが当たり前になっています。
そのため、MEO対策(Googleマップ最適化)やInstagram、LINE公式アカウントなどを活用した情報発信が欠かせません。
費用をかけずに集客できる手段として、SNS活用はコストパフォーマンスも非常に高いです。
定期的な情報発信と患者との接点づくりがポイントです。
自費メニューを導入して収益源を増やす
保険診療に依存しすぎず、価値のある自費施術メニューを用意することが安定経営の鍵となります。
例えば、骨盤矯正、スポーツ整体、美容鍼灸など、目的特化型のメニューは高い単価を維持しやすいです。
料金設定と施術内容の明確化を図ることで、患者の満足度を高め、リピートにもつながります。
価格よりも「価値」をしっかり伝えることが重要です。
患者のニーズに応えるカウンセリング重視の施術を行う
近年、患者は「どんな施術をされるのか」「どうしてこの施術が必要なのか」といった説明を求める傾向が強まっています。
そのため、ただ施術をするだけでなく、事前のカウンセリングや症状の原因説明を丁寧に行うことが重要です。
こうした取り組みは患者との信頼関係を築き、結果としてリピート率の向上や紹介につながります。
技術力だけでなく、コミュニケーション力も整骨院経営において重要な武器となります。
他業種と連携してサービスの幅を広げる
整骨院単体での集客や収益確保が難しくなっている中で、他業種との連携によって新たな価値を提供する院が増えています。
例えば、フィットネスジムやパーソナルトレーニング施設、介護施設などと連携することで、患者の健康寿命をトータルでサポートできる体制を整えることが可能です。
また、美容サロンや鍼灸院と提携し、美容整体やリラクゼーションメニューを提供することで女性客の集客にもつながります。
時代のニーズに合った柔軟なサービス展開が、整骨院の未来を切り開くカギになります。
まとめ:整骨院の経営がなぜこんなに 厳しいのかを理解し、未来に備える
整骨院の経営が厳しいと言われる背景には、業界構造の変化、制度の見直し、競合増加、人手不足など複数の要因が絡んでいます。
しかし、現状を正しく理解し、データや事例から学ぶことで、十分に生き残る道はあります。
業界構造の変化を正しく知っておく
整骨院を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変わりました。
店舗数の増加や他業種の参入、保険制度の変化など、「今まで通り」のやり方では通用しない時代に突入しています。
そのため、まずは業界全体の構造やトレンドを理解することが出発点となります。
現実を直視し、柔軟な対応を取る準備が必要です。
データと事例から現実的な戦略を立てる
感覚や過去の成功体験に頼った経営では、現在の競争環境を勝ち抜くのは難しくなっています。
厚生労働省や業界団体の統計データ、先進的な整骨院の成功事例など、信頼できる情報に基づいた経営戦略を立てることが求められます。
「何がうまくいっているのか」を分析し、自院に合った形で実践していくことが大切です。
差別化と柔軟な経営が生き残りの鍵になる
これからの整骨院経営では、「選ばれる理由」を明確に持つことが重要です。
技術・接客・サービス・価格・利便性のどこかで優位性を持ち、それを患者に伝える工夫を重ねていく必要があります。
さらに、制度や社会の変化に対応する柔軟さも求められます。
常に進化し続ける整骨院こそが、これからの時代を生き抜ける存在となるでしょう。
接骨院・整骨院の開業は、ジャパン柔道整復師会にお任せください!
今回の記事では整骨院の経営が厳しい理由について解説してきました。このようなリスクや対策法を知った上で、整骨院の開業を本格的に検討し始めた方もいらっしゃるかと思います。
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