コラム
【柔道整復師向け】整骨院における初検料の算定条件とは?算定できないケースも解説
2023.5.1
接骨院・整骨院経営においてレセプトの作成は一仕事です。嘘偽りなくありのままの事実を記載したとしても、内容の不備や過不足があったり、不正を疑われてしまったりすることもあります。今回のコラムでは、療養費の中でも金額の大きい「初検料」についてお話していきます。
初検料とは
初検料とは、患者さんが整骨院に初めて来院されたときに算定することができる料金のことです。負傷箇所が増えたときや1ヶ月以内に新たに負傷したときなど、人によって判断が分かれるようなケースによっては算定できる場合とできない場合があります。
初検料の算定料金
ここで、初検料の算定料金について解説します。初検料はこれまでにも何回か変動していますが、最新の算定料金は1,460円となっています。これまでの経緯は下記のようになっています。
改定時期 改定内容 料金
平成28年 初検料の引き上げ 1,450円→1,460円
平成26年 初検料の引き上げ 1,335円→1,450円
平成25年 初検料の引き上げ 1,240円→1,335円
平成18年 初検料の引き下げ 1,270円→1,240円
度重なる改定により、初険料は徐々に引き上げられています。初検料が引き上げられる背景としては、「適正な請求を行う施術者が正当に評価されるよう、整復料等にウエイトを置いた改定を行う。」という厚生労働省の考えが根底にあるようです。
参照:厚生労働省「柔道整復療養費に関する議論の整理(案)」
初検料の算定条件
①患者の負傷が治癒した後、同一月内に新たに発生した負傷に対し施術を行った場合の初検料は算定できること。
この場合は、例えば最初の負傷がA、新たな負傷がBとした場合、Bの初回の施術時にAが治癒していればBの初回の施術を初検料として算定できるということです。
②現在、施術継続中に新規負傷が発生した場合は、それらの負傷に係る初検料は合わせて一回とするので、新規負傷の初検料は算定できないこと。
こちらは、①の例でいうとAの負傷が継続している最中に新たにBの負傷で施術を受けたということになるので、この場合はBの施術に対して初検料を算定することはできません。
③同一の施術所において、同一の患者に2部位以上の負傷により同時に初検を行った場合であっても、初検料は1回の算定となること。
2部位以上の施術を同時に行う場合は、初検料を1つにまとめて算定します。
④同一の施術所において、同一の患者に初検を行う施術者が複数であっても、初検料は1回の算定となること。
接骨院・整骨院によっては、柔道整復師が複数勤務しているところもあるかと思います。同一の負傷に対して複数の柔道整復師が交代で患者を施術している場合は、初検料は最初の1回のみ算定とします。
⑤患者が任意に施術を中止し、1ヶ月以上経過した後、再び同じ施術所で施術を受けた場合には、その施術が同じ負傷に対するものであっても、当該施術は初検として取り扱うことができること。
本来、一つの負傷に対して初検料を2回算定することはありませんが、「1ヶ月以上も期間が経過していれば、同じ負傷でも初検と考えてもいいのではないか」との見解から、このような例外的な措置がとられました。
補足:算定日の計算方法
「算定日の計算は暦月を基準にする」とされています。これは「期間計算の一般原則」として民法で定められています。計算方法としては、暦に従って期間の末日を計算します(民法143条1項、刑事訴訟法55条2項)。
「暦に従って計算する」とは、1月を30日として日に換算して計算するのではなく、現行の太陽暦に従って計算することをいいます。
少しややこしいので、具体例を以下に挙げます。
(1) 1月1日から起算して2か月は平年なら2月28日、閏年なら2月29日が満了日。1月1日から起算して3か月は3月31日が満了日
(2) 1月20日から起算して2か月は3月19日が満了日 。1月31日から起算して2か月は3月30日が満了日
(3) 1月31日から起算して1か月は平年なら2月28日、閏年なら2月29日が満了日 。3月31日から起算して1か月は4月30日が満了日
初検料が算定できないケース
保険者を異動するケース
被保険者の結婚や雇用形態の変更などによって、通院中に保険者を異動するケースがあります。そのような場合は異動先で初検料を算定することができません。
自費施術・自賠責保険から健康保険へ切り替えるケース
被保険者が初検時は自費施術で途中から健康保険に切り替えて施術を継続するという場合、初検時に行う処置は初回の自費施術に含むと考え、健康保険は後療の施術からの算定扱いとなり、初検料を算定することはできません。
ただし、自院での切り替えではなく、他院で行っていた自賠責保険・自費施術から健康保険への引き継ぎの場合は算定可能です。
切り替えの際に保険証が確認できないときの処置
自費施術→保険施術の取り扱いについて特別なケースがあります。
療養費の支給基準 受領委任の取扱規程 第3章 保険施術の取扱い(受給資格の確認等)18によると、
「-前略-
ただし、緊急やむを得ない事由によって被保険者証を提出することができない患者であって、療養費を受領する資格が明らかなものについてはこの限りではないが、この場合には、その事由がなくなった後、遅延なく被保険者証を確認すること。」
となっています。
このような場合、健康保険で初検まで遡って請求するので初検料を算定します。
しかし、本当に健康保険に加入しているのかは保険証を確認するまでわからないので、担保として全額負担金(10割分)をお預かりしておき、保険証が確認できしだい一部負担金以外の金額を返金するという方法を取る場合があります。
参照:地方厚生局「受領委任の取扱規程 」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/iryo_shido/ahaki_toriatsukaikitei.pdf
初検料の算定に関するQ&A
転院してきた患者の場合、初検料は算定できる?
他院から転院してきた患者でも、初検料を算定できますが、他院で処置を受けている場合、初回処置料は基本的に算定できません。
しばらく通院がなかった患者が、別の部位の負傷で来院した場合、1ヵ月以内でも初検料は算定できる?
1ヶ月以内に新しい部位の負傷で来院した場合、前負傷が治癒していることが確認できれば、 初検料の算定は可能です。
午前中に負傷が治癒した患者が、午後に別の部位の負傷で来院した場合、初検料は算定できる?
この場合、初検料の算定は可能です。ただし、記載方法によっては保険者に誤解を与える可能性があるので、療養費申請書の摘要欄に前負傷の治癒とした時間帯と新たに負傷した時間帯を記載するなど、具体的な情報も加えるとよいでしょう。
無傷の場合、初検料は算定できる?
患者が痛みを訴え来院し検査したものの、外傷と認めうる兆候がなかった場合、「無傷」という取り扱いになります。無傷の場合は、初検料のみ算定できます。
まとめ
整骨院の経理の中でも初検料の算定については複雑化しており、高い専門性が必要とされます。しかし数々の例外や特殊なケースなど、一般的な経理や医療事務の知識だけでは対応できないこともあり、整骨院としては常に頭を悩ます作業となっています。そこで、複雑な経理作業を外注するという選択肢があることをご紹介します。
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