コラム

整骨院の領収書は義務? 作成方法や必要項目について詳しく解説!

病院に来院した際に領収書と明細書をもらうかと思います。これらは患者が診療内容やその金額についてしっかりと知るために重要なものです。では、整骨院では領収書や明細書の発行が義務化されているのでしょうか?また、それらはどのように作成すればよいのでしょうか?

今回の記事では、整骨院での領収書や明細書の発行のポイントや、義務について詳しく解説してきます。整骨院での領収書や明細書発行について詳しく知りたい方、ぜひご覧ください。

 

整骨院の領収書発行は義務

平成22年9月から、整骨院で施術費用や療養費の一部負担金を徴収した場合は、領収書を発行することが義務付けられました。それは保険施術を行った場合も保険外施術(自費施術)を行った場合でも同様です。また、2022年10月からはある条件のもと、一定の整骨院は明細書発行も加えて義務とされることとなりました。この条件については後ほどまた詳しく解説いたします。また、領収書を出す際にはそれが無償であることや、施術住所、施術名、先生名が載っていることが重要です。

 

領収書の作成方法

基本的に領収書は患者の来院ごとに渡さなければいけません。渡し忘れや整骨院側の都合で1か月分をまとめて渡すようなことをしないように気を付けましょう。

領収書の作成方法としては、まず療養費の算定基準に基づいて保険施術の合計金額を計算します。ただし、令和2年6月1日に料金改定が行われたので要注意です。そして、その金額から一部負担金を算出します。この一部負担金は、保険請求では厚生労働省保険局長で定められている金額よりも多く徴収する必要があります。その後、保険外施術に掛かった費用を足して合計金額を出します。最後に日付や患者氏名などの必須事項を書き込めば完成です。領収書に書くべき必要な事項については次の章でまた詳しく解説します。

 

領収書に必要な項目

領収書を発行する際には、以下の事項を載せなければいけません。厚生労働省のホームページでは以下の項目が提示されていますのでチェックしてみてください。基本的には以下のものを書いていれば問題ありません。

・患者氏名

・徴収した日付

・保険施術の合計金額

・一部負担金の金額の内訳

・保険外施術の金額の内訳

・一部負担金と保険外施術(自費施術)の合計金額(患者支払い金額)

・施術所の名前と住所

・施術管理者の名前と印鑑

これらをきちんと記述して、毎回患者に渡すようにしましょう。

 

キャッシュレス決済でも領収書は発行する?

キャッシュレス決済でも領収書の交付は義務です。最近はキャッシュレス決済に対応している整骨院も増えてきていますよね。ただし、その際には現金と同様に領収書を発行しなければいけません。キャッシュレス決済としてはクレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコード決済、バーコード決済などがありますが、全て現金と同様の取り扱いになります。特にQRコード決済では、決済金額が履歴として表示されるのみなので、施設側が必ず領収書を交付する必要があります。もし、患者に領収書は不要だと言われた場合はその旨をカルテに記載し、領収書を再発行しないようにしましょう。領収書の再発行については、次の章で詳しく解説します。

 

領収書の再発行はできる?

患者が領収書を紛失してしまった場合などに再発行を依頼されることもありますが、基本的に領収書を再発行することはできません。経費の水増し請求に使われたり、二重計上されたりといった不正を防ぐためです。もし、領収書の再発行を依頼された場合は領収書ではなく領収証明書を発行します。領収証明書も領収書と同様に領収日や支払金額などを記載する必要があります。

 

2022年10月から明細書の発行も義務へ

明細書とは、領収書の保険施術を算定した時の明細を記載したものです。これまでは、明細書の発行義務は患者に明細書の発行を求められたときのみでした。しかし、今後は条件を満たす施術所は明細書の発行が義務となりました。ただし、患者から不要の申し出があった場合は除きます。明細書も領収書と共に発行を忘れないようにしなければいけません。また、領収書兼明細書でもOKです。

明細書の発行が義務化されるケースは次の2つの条件を満たす施術所になります。

まず1つ目の条件は、使用しているレセプトコンピュータに明細書発行機能がある整骨院です。明細書を発行するには、詳細な金額の計算などを行わなければいけないのでレセプトコンピュータの力を借りなければいけません。そのため、1つ目の条件にレセコンの有無があるのです。

2つ目の条件は、常勤職員が3人以上であることです。常勤職員とは各施術所での定められた勤務時間全てを勤務する者を指すとされています。また、それには柔道整復師だけでなく事務職員なども含まれます。常勤職員の定義が曖昧ですが、法定労働時間上限で勤務している従業員を常勤職員としてカウントするとわかりやすいでしょう。

この2つの条件を満たしている整骨院では、領収書と明細書の2つを必ず発行しなければいけません。

逆に、この2つの条件を満たしていない整骨院では、明細書の発行が義務ではありません。もし患者から発行の依頼があった場合は、有償で発行できます。しかし、明細書の発行義務が無いところでも領収書の発行義務はあるということを忘れないようにしましょう。

 

明細書の項目

様式としては特に決まりはありません。厚生労働省のホームページなどに載っている標準様式などを参考にすると良いでしょう。明細書も領収書と同様に、必要記載事項を網羅しておかなければいけません。また、「療養費の支給申請書」の様式にプラスで明細書の必要事項を記載し交付するというのも明細書として認められています。

具体的な記載事項としては、領収書の必要項目にプラスして療養費の概算項目を書かなければいけません。概算項目とは、初診料や再診料、初検査時相談支援料、施術情報提供料、往療料、施術料などです。施術料は整復、固定、施療領などの詳細も必要です。

 

まとめ

今回の記事では、領収書や明細書の発行義務について詳しく解説いたしました。明細書発行については、新たな義務も発生していますので、ご自身の整骨院が明細書発行義務の整骨院に当てはまるのかどうか要確認です。領収書や明細書の発行は少々面倒かもしれませんが、後々のトラブルを防ぐためにも大切なことです。患者が診療内容について知る権利を担保するとともに、不正請求や不正行為をなくすために行われています。領収書発行と明細書発行について今一度確認してみてはいかがでしょうか?

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