コラム

施術所の構造設備基準とは?厚生労働省の通知に基づく最新ルールを徹底解説

施術所の構造設備基準とは?厚生労働省の通知に基づく最新ルールを徹底解説

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師といった国家資格を持つ施術者が施術所を開設する際には、厚生労働省の定める「構造設備基準」に適合していなければなりません。

この基準は、患者の安全確保や衛生管理、無資格施術の防止といった目的から設けられています。
施術所開設時には保健所への届出も義務づけられており、基準を満たしていない場合は指導や営業停止の対象となることがあります。

本記事では、施術所の構造設備基準について正確かつ具体的に解説します。

 

施術所の構造設備基準とは?厚生労働省が定める目的と背景

施術所の構造や設備に一定の基準を設ける背景には、施術の安全性確保や施術者の信頼性向上があります。

施術が医療類似行為にあたることから、患者を保護し、社会的な信頼性を維持することが厚生労働省の狙いです。

 

患者の安全と衛生環境を守るために必要

構造設備基準の大きな目的の一つは、施術を受ける患者の安全と衛生環境を確保することです。

施術所は人の体に直接触れる施術を行うため、感染症のリスクや衛生状態が問題になります。

そのため、施術室の換気や採光、清潔に保てる材質の使用などが求められています。

また、施術を受ける空間と待機スペースを分けることで、プライバシーの保護と衛生管理が可能になります。

 

無資格者の施術や違法営業を防ぐための仕組み

無資格者による施術や、規定を守らない営業を防ぐためにも、構造設備基準は必要です。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などの資格者でないと施術所を開設できないことが法律で定められています(あはき法第9条等)。

保健所に届出を出す際、構造設備基準に適合しているかがチェックされることで、無資格者の不正開設が防止されています。

これにより、患者が安全かつ信頼できる施術を受けられる仕組みが整えられています。

 

施術所としての最低限の基準を全国で統一する

日本全国で施術所の環境にばらつきがないよう、構造設備基準は厚生労働省により統一的に定められています。

ただし、実際の運用は各自治体(都道府県・保健所)に任されているため、解釈や細かい指導内容には地域差があることも事実です。

そのため、開設予定地の保健所で事前相談を行うことが推奨されています。

統一された基準をもとに、地域事情に応じた柔軟な運用が行われているのが実情です。

 

厚生労働省が定める施術所の構造設備基準の基本要件

厚生労働省は、施術所が守るべき最低限の構造設備に関して、通知や通達という形で基準を示しています。

これらは「あはき法」(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)第9条を根拠に、具体的な内容が通知されています。

 

6.6平方メートル以上の専用施術室が必要

施術を行う部屋(施術室)は、面積が最低でも6.6平方メートル(約2坪)以上でなければなりません。

これは施術を安全に行うために必要な広さとして定められているもので、ベッドや器具の設置、施術者の動線確保が目的です。

カーテンや簡易な仕切りではなく、壁で区切られた部屋であることが求められます。

一人の施術者が1人の患者に施術する環境を前提とした広さであり、複数人対応する場合はさらに広い空間が必要になります。

 

待合スペースを別に設ける必要がある

施術室とは別に、患者が待機するためのスペース(待合室)を設けることが求められています。

施術室と待合スペースが明確に区分けされていないと、保健所から改善指導を受ける可能性があります。

患者のプライバシーを守るとともに、スムーズな導線設計や衛生環境の管理を目的としています。

待合スペースにおいても換気や清掃がしやすい構造であることが望ましいとされています。

 

採光・換気が十分に確保されていなければならない

厚生労働省は、施術室に十分な採光と換気機能があることを構造設備基準の一部としています。

自然光の取り入れが難しい場合でも、照明設備や換気扇の設置により明るさと空気の循環が確保されていれば要件を満たします。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、近年は換気の重要性がさらに強調されています。

窓や換気扇が設置されていない場合、必要な換気量を確保できる機器の導入が求められるケースもあります。

常に清潔が保たれる構造であることが求められている

施術所は常に清潔な状態を維持できる構造であることが求められます。

床や壁は、掃除がしやすく、汚れが付きにくい素材を使用することが望ましいとされています。

布製カーペットのように埃や汚れがたまりやすい素材は、清掃が困難なため、避けるべきとされています。

また、手洗い設備の設置なども衛生管理の一環として推奨されています。

 

施術所の構造設備基準に関する厚生労働省の通知やガイドライン

施術所の開設にあたり、各自治体の保健所では厚生労働省の通知に基づいた判断が行われます。

通知は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」に基づいて発出されており、地方自治体のガイドラインにも反映されています。

 

あはき法に基づいた通知が各都道府県に出されている

厚生労働省は、施術所に関する通知を各都道府県に向けて発出しています。

これらの通知は、「あはき法」に根拠を持ち、施術所の構造、設備、衛生管理、届出義務に関する内容が含まれています。

都道府県はこの通知に基づき、具体的な開設手続きや基準を定めています。

通知は厚生労働省の公式ウェブサイトや、都道府県の保健所窓口で閲覧可能です。

 

施術所開設届の提出時にチェックリストが活用されている

施術所を開設する際には、開設届の提出が必要です。このとき、保健所では構造設備基準に適合しているかを確認するための「チェックリスト」を活用しています。

このチェックリストには、施術室の面積、仕切りの構造、換気や採光の状況、待合室の有無などが記載されており、提出者はすべての項目に回答しなければなりません。

チェックリストに不備や基準未達がある場合、保健所から是正指導や再提出を求められることがあります。

したがって、事前に構造設備が基準を満たしているかを十分に確認してから、届出を行うことが重要です。

 

「施術所開設者向け手引き」など各自治体が具体的な指針を出している

多くの都道府県や市区町村の保健所では、施術所の開設者に向けた「手引き」や「ガイドライン」を公開しています。

これらの資料では、構造設備基準の具体例、必要書類、提出手続き、よくある不備の事例などが丁寧に説明されています。

地域によって細かい指導内容や確認ポイントが異なるため、開業を予定している自治体の手引きを事前に確認することが欠かせません。

手引きは保健所の窓口だけでなく、多くの自治体が公式サイトにPDF形式で掲載しており、無料で閲覧できます。

 

厚生労働省の基準に適合した施術所の構造設備の具体例

ここでは、厚生労働省の構造設備基準に適合している施術所の実際の例を紹介します。

 

個室型で換気扇・窓を備えた施術室の例がある

基準を満たした施術所の代表的な例として、壁で区切られた個室型の施術室に、換気扇や窓が設置されているケースがあります。

このような構造であれば、プライバシーの確保と空気の入れ替えが同時に行えるため、保健所の審査でも適合と判断されやすいです。

室内に手洗い設備を備えている施術所も増えており、衛生対策の強化が進められています。

また、施術ベッドの周辺に十分なスペースが確保されていることも重要なポイントです。

 

アコーディオンカーテンではなく壁と扉で区切った施術所がある

仕切りについて、かつてはアコーディオンカーテンなど簡易的な方法で対応していた例も見られました。

しかし、現在は「恒久的な構造」(壁と扉)によって施術室を区切ることが原則とされています。

東京都など複数の自治体では、「カーテンのみの仕切りは不可」と明記しているため、壁と扉を備えた施術室を設置する施設が増えています。

特に複数の施術者が在籍する施術所では、各施術室が完全に独立した構造になっていることが望まれます。

 

床や壁を清掃しやすい素材で施工している施術所が増えている

施術所の床材・壁材については、汚れが落ちやすく、消毒に耐えられる素材を選ぶことが求められています。

最近では、クッションフロアや抗菌加工されたビニールクロスを使用する施設が主流です。

カーペットや布製の内装は、清掃や感染症対策の観点から推奨されていません。

このような素材選定は、日々の清掃のしやすさと衛生環境の維持につながります。

 

厚労省の指導に従い、ベッド間のスペースを十分に確保している施設がある

施術ベッドを複数設置する場合は、患者同士の距離を保つことが重要です。

具体的には、ベッド間に90cm以上の間隔を確保したり、間仕切りを設けたりすることで、感染症対策やプライバシー保護に対応しています。

これは、厚生労働省や自治体のガイドラインにも記載されており、保健所からの指導内容にも含まれます。

とくに新型コロナ以降は、この点が厳しく確認される傾向にあります。

施術所を開業する前に構造設備基準と厚生労働省の要件をチェックする方法

施術所をスムーズに開設するためには、開業前の情報収集と事前確認が不可欠です。

基準を満たしていないと、届出の受理がされない、または営業停止となるリスクがあります。

 

都道府県の保健所に事前相談するのが確実

施術所を開設する場所を決めたら、まずはそのエリアを管轄する保健所に相談しましょう。

保健所では構造設備基準に関する詳しい説明や、開設に必要な書類、図面の確認などを事前に行ってくれます。

また、相談時に「ここは要改善」といった指導を受けることで、実際の開設時にトラブルを防ぐことができます。

相談は無料で、予約制のことが多いため、事前に電話やインターネットで申し込みをするのが一般的です。

 

開設予定地の自治体が発行する手引きを確認するべき

各自治体では、「施術所開設の手引き」「施術所構造設備の基準」などの資料を発行しています。

これらの手引きは、厚生労働省の通知を基に地域のルールをまとめたもので、非常に実用的な情報源です。

手引きには、具体的なレイアウト例、必要な面積、よくある不適合の事例などが記載されています。

開業の準備段階で必ず確認しておきましょう。

 

過去に指導を受けた事例を参考にできる

保健所では、過去に構造設備基準に違反した例や、改善指導を受けた事例を把握しています。

相談時に「これまでにどんな指摘が多かったか」を聞くことで、同じミスを防ぐことができます。

また、同業者の成功例や失敗例も参考にすることで、より確実な開業準備が可能になります。

最近では、施術所開設を支援する行政書士や設計士も増えており、こうした専門家に相談することも一つの方法です。

 

よくある施術所の構造設備基準違反と厚生労働省の対応

構造設備基準に違反していると、保健所から是正命令や営業停止命令が下されることがあります。

ここでは、過去の事例からよくある違反内容を紹介します。

 

カーテンのみの間仕切りでは違反と判断されることがある

多くの自治体では、「カーテンのみで施術室を区切るのは不可」としています。

これは、施術室が「恒久的な構造」でなければならないとする厚生労働省の通知によるものです。

過去には、保健所の立入調査でカーテン仕切りが発覚し、営業停止処分を受けた事例もあります。

壁と扉で完全に仕切られた構造が原則となっていることを理解しておきましょう。

 

換気設備が不十分で改善命令が出されるケースがある

換気設備の不足は、構造設備基準違反の中でもよく見られる指摘事項です。

施術室に窓がなかったり、換気扇が設置されていない場合、空気の循環が不十分と判断され、保健所から改善命令が出されることがあります。

とくに新型コロナウイルス感染症の流行以降は、換気の重要性が高まり、自治体によっては「1時間に2回以上の換気」など数値基準を示すケースもあります。

十分な換気能力がある機器の設置、もしくは常時換気が可能な窓の確保が、構造上の要件として重視されています。

 

施術室と待合スペースの区分けが不十分で保健所から指摘される

施術室と待合スペースの区分けが不明瞭な場合も、構造設備基準違反と判断される可能性があります。

例えば、施術室のすぐ隣にイスを並べただけのようなスペースでは、「待合」として認められないことがあります。

自治体のガイドラインでは、「施術を行う空間と待機する空間は、明確に分けられていること」が求められています。

パーティションや間仕切り壁などを用いて視覚的・構造的に分離する工夫が必要です。

 

無届けで構造を変更すると営業停止になる場合がある

施術所を開設した後でも、構造に変更を加える際には保健所への届出が必要です。

無届で施術室の広さを変更したり、設備を撤去したりした場合、営業停止などの厳しい措置が取られることがあります。

厚生労働省の通知では、開設後に構造設備を変更する場合は「変更届出」が義務付けられており、それを怠ると法律違反となります。

トラブルを避けるためにも、変更が生じた際は速やかに所轄保健所へ相談するようにしましょう。

 

施術所の構造設備基準に関する厚生労働省の最新動向・改正情報

構造設備基準は、時代の変化や社会的な課題に応じて見直しが進められています。

今後の施術所開設や運営に関わる方は、最新の動向に目を通しておくことが非常に重要です。

高齢化社会を背景に在宅施術向けの基準見直しが検討されている

日本は急速な高齢化が進んでおり、自宅で施術を受けたいというニーズが増えています。

このような背景から、厚生労働省では在宅施術や訪問施術に対応した構造基準の緩和や新設を検討している動きがあります。

従来のような固定的な施術所だけでなく、柔軟な形態の施術提供が可能になる方向です。

ただし、安全性や衛生管理の観点から、一定のルールは残される見通しです。

 

感染症対策の強化が構造基準に反映されつつある

新型コロナウイルス感染症の流行を受け、施術所にも感染症対策としての構造的な配慮が求められるようになりました。

例としては、非接触型の体温測定機器の設置、手洗い場の増設、アルコール消毒液の常備などが挙げられます。

これらは法律上の義務ではありませんが、保健所の指導事項として取り入れられている地域もあります。

将来的には、こうした感染対策が構造設備基準の一部として明文化される可能性もあります。

 

自治体ごとの解釈のばらつき是正に向けた統一化の動きがある

現在、構造設備基準の詳細な運用は自治体ごとに異なり、地域差が生じています。

そのため、同じ条件で申請しても、ある自治体ではOKでも別の自治体ではNGという事例も少なくありません。

このばらつきを是正するため、厚生労働省では全国共通の運用基準やモデル様式の整備を進めています。

今後は、より明確で一貫性のあるルールのもとで施術所の開設・運営が行われるようになると期待されています。

 

まとめ|施術所の構造設備基準と厚生労働省の要件を正しく理解しよう

施術所を安全に、かつ法律に則って開設・運営するには、構造設備基準を正しく理解することが不可欠です。

厚生労働省の通知や各自治体の手引きに従って準備を進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

 

基準を守ることが開業成功の第一歩になる

構造設備基準は、単なる形式的な条件ではなく、施術の質や信頼性に直結する要素です。

施術室の広さや換気、清掃のしやすさは、患者にとって快適な空間づくりにもつながります。

しっかりと基準を満たした施設は、信頼を得て長く運営を続けることができます。

 

厚生労働省の通知や自治体の指導内容を定期的に確認するべき

構造設備に関する基準は、時代や社会情勢に合わせて変化しています。

最新の通知や指導内容を知らずに運営を続けていると、知らぬ間に違反状態になっていることも。

定期的に厚生労働省のホームページや自治体の公式サイトを確認することが大切です。

 

違反リスクを避けるために開業前の準備が重要

開業時の構造設備の不備は、届出の受理遅れや営業停止につながる重大な問題です。

事前に図面や構造をしっかりと計画し、保健所に相談しながら進めることで、トラブルを回避できます。

構造設備基準をクリアすることは、法令順守だけでなく、患者への信頼にもつながる第一歩です。

 

【接骨院・整骨院の開業は、ジャパン柔道整復師会にお任せください】

今回この記事を読んで、整骨院の開業を本格的に検討し始めた方もいらっしゃるかと思います。

 

整骨院の開業は、ぜひジャパン柔道整復師会にお任せください。

 

ジャパン柔道整復師会では、接骨院・整骨院の開業を全面的にサポートしております。

  • 事業計画の作成
  • 開業場所の選定
  • 商圏調査
  • 物件の紹介
  • 融資の資料作成
  • 届出の書類準備
  • 治療機器の販売
  • ホームページの作成

といったように単なるアドバイスにとどまらず、実際に手を動かし開業準備を進めます。

詳しいご支援内容は以下の記事をご覧ください。

⇒ジャパン柔道整復師会の開業支援サービスについて

 

仕事をしている間も私たちが着々と準備を進めますので、今の仕事を続けながら開業の準備が整います。中には開業の前日まで、仕事を続けていた方もいらっしゃいます。

 

コラム一覧に戻る