コラム
接骨院の開設条件とは?必要な資格・施設基準・手続きをまとめて解説
2026.3.10
接骨院の開設条件とは?必要な資格・施設基準・手続きをまとめて解説
接骨院を開業するには、資格を取得するだけでは不十分です。施設の構造設備基準を満たしていること、必要な行政手続きを完了していること、さらに健康保険を取り扱う場合は追加の要件も発生します。2024年4月以降は施術管理者の要件が変更になっており、最新情報を把握したうえで準備を進めることが重要です。
この記事では、接骨院の開設に必要な資格・施術所の構造設備基準・届出の手順・健康保険取り扱いのための条件まで、網羅的に解説します。
接骨院開設に必要な資格

柔道整復師免許の取得
接骨院(整骨院)を開設して施術を行うためには、「柔道整復師」の国家資格が必須です。柔道整復師の免許は、文部科学省の指定する4年制大学、または都道府県知事が指定する3年制以上の専門養成施設を卒業したうえで、柔道整復師国家試験に合格することで取得できます。国家試験は毎年3月頃に実施されており、合格率は例年50〜65%程度です(年により変動が大きく、2023年は49.6%と50%を下回った年もあります)。
免許証は施術所開設届の提出時に写しの提出が求められるほか、施術所内への掲示義務もあります。免許証を紛失・汚損した場合は厚生労働省へ再交付申請を行い、開業前に必ず正規の免許証を手元に用意しておいてください。
開設者と施術管理者の関係
接骨院には「開設者」と「施術管理者」という2つの役割があります。開設者は施術所を設置・経営する人(個人または法人)であり、施術管理者は施術所の管理・監督責任を担う柔道整復師です。個人で開業する場合、開設者と施術管理者は同一人物であることが一般的ですが、法人が開設者となる場合は代表者と施術管理者が異なることもあります。施術管理者は必ず柔道整復師でなければならず、別に定められた要件を満たす必要があります。
施設の構造設備基準
法令が定める基本基準
接骨院の開設にあたっては、施術所が法令の定める構造設備基準を満たしていることが前提条件となります。基準を満たしていない場合は、保健所の審査で開設届が受理されない可能性があります。
| 要件 | 内容
|
|---|---|
| 施術室の面積 | 6.6㎡(約4畳)以上 |
| 天井の高さ | 2.1m以上(自治体によって基準が異なる場合あり) |
| 採光・換気 | 採光および換気に適した窓またはそれに代わる換気設備が必要 |
| 消毒設備 | 手指の消毒が行える洗面台・消毒液等の設備が必要 |
| 待合スペース | 患者が待機できるスペースの確保が必要 |
物件選定時の注意点
物件を選ぶ際は、これらの基準を事前に確認することが重要です。特に施術室の面積が6.6㎡を下回っているとそのままでは開設できず、内装工事で間仕切りを設けることで施術室面積が法定基準を下回ってしまうケースもあります。物件契約前に管轄保健所に相談し、平面図案を持参して事前確認を受けることをおすすめします。
また、天井高については自治体・保健所によって確認基準が異なる場合があるため、物件のある地域の保健所に直接問い合わせて確認することが確実です。
開設に必要な行政手続き
施術所開設届(保健所)
接骨院を開設した日から10日以内に、施術所の所在地を管轄する保健所に「施術所開設届」を提出します。必要書類は施術所開設届・柔道整復師免許証の写し・施術所の平面図・案内図が基本となります。法人開設の場合は定款・登記事項証明書も必要です。
平面図には各部屋の用途・寸法・面積・換気設備・消毒設備の位置を正確に記載する必要があります。提出部数は保健所によって異なりますが、正副2部を求められることが多いため、事前に確認してください。書類作成に不安がある場合は、着工前に保健所への事前相談を活用することで、受理されないリスクを回避できます。
受領委任の申し出(地方厚生局)
健康保険(受領委任払い)を取り扱うためには、施術所開設届とは別に、管轄の地方厚生局に「受領委任の申し出」を行う必要があります。この申し出が受理・承認されるまでは保険請求が行えないため、開業前または開業と同時期に手続きを進めておく必要があります。後述の施術管理者の要件を満たしていない場合は申し出が認められないため、要件確認を先に行うことが重要です。
個人事業の開業届(税務署)
個人事業主として開業する場合、開業から1ヶ月以内に所轄税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出します。青色申告を選択する場合は、合わせて「青色申告承認申請書」の提出も行いましょう。申請期限は、1月1日〜1月15日の間に開業した場合はその年の3月15日まで、1月16日以降に開業した場合は開業日から2ヶ月以内となります。
健康保険取り扱いの要件:施術管理者制度
施術管理者制度の概要
平成30年4月以降、受領委任(保険)取り扱いのためには「施術管理者」として定められた要件を満たす必要があります。施術管理者制度は、保険請求の適正化と施術の質向上を目的として設けられたもので、一定の実務経験と研修修了が義務付けられています。
2024年4月以降の実務経験要件
2024年4月以降に受領委任の申し出を行う場合、施術管理者に求められる実務経験は3年以上に変更されました(2018年4月〜2022年3月は1年、2022年4月〜2024年3月は2年の経過措置あり)。この実務経験は免許取得後に他の接骨院等で勤務した期間が対象となり、複数の施術所や保険医療機関での実務経験は合算が可能です(ただし1施術所あたりの上限は2年)。開業を目指している方は、勤務期間中に要件を満たせるよう計画的に準備することが重要です。
施術管理者研修の受講
実務経験の要件に加えて、定められた施術管理者研修を受講・修了していることも必要です。研修は日本柔道整復師会などの関係団体が実施しており、修了証の取得が必要となります。研修のスケジュールは年に複数回設けられていますが、定員が埋まる場合もあるため、早めに受講計画を立てることをおすすめします。
開業に必要な初期費用の目安

費用の全体像
接骨院の開業資金は、物件の状態や規模によって大きく異なりますが、一般的には500万〜1,000万円程度が目安とされています。具体的な内訳としては、物件取得費(保証金・礼金)が50〜200万円、内装工事費が200〜400万円、医療機器・備品が100〜200万円、運転資金が200〜400万円程度が相場です。
| 費用項目 | 目安
|
|---|---|
| 物件取得費(保証金・礼金等) | 50〜200万円 |
| 内装工事費 | 200〜400万円 |
| 医療機器・備品 | 100〜200万円 |
| 看板・Web制作 | 20〜50万円 |
| 運転資金(3〜6ヶ月分) | 200〜400万円 |
| 合計目安 | 500〜1,000万円程度 |
居抜き物件の活用とコスト削減
居抜き物件(前のテナントの内装や設備が残っている物件)を活用することで、内装工事費を大幅に削減できる場合があります。同業種(接骨院・整骨院)の居抜き物件であれば、施術台の位置・手洗い場・間仕切りがそのまま使えるケースもあり、内装費用を100〜200万円以上節約できることがあります。
資金調達の選択肢
開業資金の不足分は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(旧:新創業融資制度)や各都道府県の制度融資を活用して賄う方法が一般的です。自己資金が少ない場合でも一定の融資を受けられる可能性がありますが、事業計画書の作成が必要になるため、早めに準備を始めることが重要です。
まとめ
接骨院を開設するためには、柔道整復師免許の取得・施術所の構造設備基準の充足(施術室6.6㎡以上など)・保健所への施術所開設届の提出(開設後10日以内)が最低限必要です。健康保険を取り扱う場合は、さらに地方厚生局への受領委任申し出と施術管理者としての要件(2024年4月以降は実務経験3年以上+研修修了)も必要となります。開業資金は500〜1,000万円程度が目安となるため、居抜き物件の活用や融資の活用も視野に入れた資金計画を立てることが大切です。開業前に管轄保健所と地方厚生局への事前確認を行い、スムーズな開業準備を進めることが成功への近道です。
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