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コラム

整骨院の1人あたり単価はいくら?保険と自費の相場と上げ方を解説

整骨院の1人あたり単価は、保険施術中心なら1回1,000〜3,000円台、自費施術を組み合わせた院では4,000〜8,000円程度が目安です。 同じ「整骨院」でも、保険・自費・交通事故のどれを主軸にするかで単価は数倍変わります。

開業準備で事業計画を作っている方や、患者数はそこそこいるのに売上が伸びないと感じている院長の方にとって、単価は最初に押さえたい数字です。ただ、保険の単価は国が決めた料金で計算されるため、自分で動かせる部分とそうでない部分を分けて考える必要があります。この記事では、令和8年7月施行の療養費改定を踏まえた保険施術の単価の考え方、自費・交通事故施術の相場、単価を上げるときの具体策と注意点までをまとめます。

整骨院の1人あたり単価の相場

施術形態ごとの目安

整骨院の単価は、どの財布からお金が支払われるかで大きく三つに分かれます。目安を表にまとめました。

施術の種類1回あたりの単価の目安価格の決まり方
保険施術(受領委任)1,000〜3,000円前後国が定める療養費の料金表で算定
自費施術3,000〜8,000円程度院が自由に設定
交通事故施術(自賠責保険)5,000〜10,000円程度保険会社との協議で決まる

受領委任とは、患者さんが窓口で自己負担分だけを支払い、残りを施術所が保険者に請求する仕組みのことです。保険施術は初回の来院日に初検料が入るため高くなり、2回目以降は1,000円前後まで下がるのが普通です。

保険中心の院と自費併用の院の差

保険施術だけで運営している院では、1回あたりの平均単価が2,000円に届かないことも珍しくありません。一方で、保険施術のあとに自費の矯正や鍼施術を組み合わせる院では、平均3,000〜4,000円台に乗るケースが多く見られます。自費専門で1回60分前後の施術を提供する院なら、6,000〜8,000円の設定もあります。

同じ1日30人を診ても、単価1,500円と4,000円では月の売上に100万円以上の差が出ます。開業前の計画段階で、どの層を主な患者として想定するかを決めておくことが大切です。

「1人あたり」の意味を整理しておく

単価という言葉は、使う人によって指すものが違います。1回の来院ごとの売上を指す場合もあれば、患者さん1人が月に落とす金額、あるいは通院を終えるまでの総額を指す場合もあります。

経営判断に使うなら、1回あたり単価と、1人の患者さんが通院期間全体で支払う総額(LTV:顧客生涯価値。1人の顧客が取引期間全体でもたらす売上のこと)の両方を見るのがおすすめです。1回の単価が高くても2回で来なくなる院より、単価は中程度でも適切な期間通ってもらえる院のほうが、売上は安定します。

保険施術の単価はどう決まるのか

療養費の料金表で計算される

保険施術の単価は、厚生労働省が定める柔道整復療養費の料金表で決まります。院長が自由に値上げすることはできません。令和8年7月1日施行の改定では、主な項目が次のように変わりました。

項目改定前改定後
初検料1,550円1,560円
再検料410円420円
後療料(打撲・捻挫)505円550円
温罨法料75円80円
冷罨法料85円80円
電療料33円46円

後療料とは、初回の施術以降に行う施術の料金のことです。罨法料(あんぽうりょう)は患部を温めたり冷やしたりする処置に対する加算を指します。

1回あたりの計算例

打撲や捻挫で通院している患者さんの場合、3回目以降の1部位分は後療料550円に罨法料や電療料が加わり、合計で700円前後になります。今回の改定では2部位目が80%に逓減(ていげん:部位が増えるほど算定額を一定割合で減らす仕組み)される扱いが新たに設けられたため、2部位を施術しても1,200円台にとどまる計算です。

初回は初検料1,560円と初検時相談支援料100円、施療料が加わるので2,000円を超えます。保険施術の単価が来院回数に応じて下がっていくのは、この料金構造によるものです。

窓口負担と請求のタイムラグ

患者さんが窓口で払うのは、この総額のうち原則1〜3割です。3割負担なら3回目以降の1部位で200円台ということになります。残りは保険者に申請し、入金されるのは通常2〜3か月後です。

開業直後に資金繰りが苦しくなりやすいのは、売上の大半が後から入ってくるためです。単価を計算するときは、売上として立つ金額と、いつ現金になるかを分けて把握しておくと安心です。

自費施術と交通事故施術の単価

自費施術の価格帯

自費施術は院が料金を自由に決められます。骨盤矯正や姿勢矯正は1回3,000〜6,000円、鍼灸を組み合わせたメニューや60分程度の手技施術では6,000〜8,000円程度に設定する院が多いようです。美容鍼やスポーツ選手向けのコンディショニングなど、対象を絞ったメニューでは1万円前後の設定も見かけます。

価格を決めるときは、地域の相場、施術にかかる時間、担当する施術者の技量を並べて考えます。都市部の駅前と郊外の住宅地では、受け入れられる価格帯が1,000〜2,000円ほど違うこともあります。

交通事故施術は単価が高いが比重に注意

交通事故によるけがは、自賠責保険(自動車の所有者に加入が義務付けられている保険)で施術費が支払われます。1回あたり5,000〜10,000円程度になることが多く、単価だけを見れば最も高い区分です。

ただし患者数は事故の発生に左右されるため、計画的に増やせるものではありません。保険会社とのやり取りや書類作成にも手間がかかります。売上の柱として当てにするより、来院があったときに丁寧に対応できる体制を整えておく、くらいの構えが現実的です。

混合施術のルール

保険施術と自費施術を同じ日に行う場合、同じ部位に対して両方を算定することはできません。保険の対象は急性・亜急性の外傷に限られており、慢性的な肩こりや疲労回復を目的とした施術は自費の扱いになります。部位と目的をはっきり分け、施術録にも記録しておくことが前提です。

単価だけで経営を判断しないための視点

売上を分解して考える

整骨院の売上は「患者数×来院頻度×1回あたり単価」で決まります。単価を上げても、そのぶん来院頻度が落ちれば売上は変わりません。改善策を考えるときは、どの要素がボトルネックになっているかを先に確認してください。

たとえば新規患者は月に30人来ているのに2回目の来院が半分以下なら、単価より再来率を上げるほうが効果は大きくなります。逆に通院は続いているのに売上が伸びない院は、単価の見直しが効きやすいと言えます。

時間あたりの単価を見る

もう一つ見落とされがちなのが、施術時間あたりの売上です。保険施術で1人10分、単価1,000円なら1時間あたり6,000円。自費施術で1人40分、単価5,000円なら1時間あたり7,500円です。

単価の数字だけを比べると自費が5倍に見えても、時間で割ると差は小さくなります。ベッド数やスタッフ数にも限りがあるため、1日の予約枠をどう配分するかまで含めて考えると判断を誤りにくくなります。

地域と患者層による違い

高齢者の多い地域では、保険施術を中心に通院してもらい、自費は無理に勧めないほうが信頼につながることもあります。会社員や学生が多い地域では、平日夜や土日の予約制自費メニューが受け入れられやすい傾向があります。自院の周辺にどんな人が住み、働いているのかを把握してから単価の目標を置きましょう。

整骨院の単価を上げる具体的な方法

自費メニューを症状に合わせて設計する

単価を上げる方法としてまず挙がるのが自費メニューの導入です。ただ、メニュー表に並べるだけでは選ばれません。来院の多い症状を洗い出し、その悩みに対して「保険の範囲ではここまで、自費ならここまで対応できる」と説明できる形に組み立てると、患者さんも納得して選びやすくなります。

導入時は、1〜2種類に絞って始めるのが無難です。メニューが多すぎると説明に時間がかかり、施術者ごとに提案の仕方もばらつきます。

初回のカウンセリングに時間を使う

自費施術を受けるかどうかは、初回の説明でほぼ決まります。問診で生活習慣や仕事の姿勢まで聞き取り、なぜその施術が必要なのか、どのくらいの期間で変化を見込めるのかを具体的に伝えます。

「とりあえず今日だけ」と言われる院と、「この期間で通ってみます」と言われる院の差は、施術の技術よりも説明の丁寧さにあることが多いものです。

回数券や定額プランを用意する

継続して通ってほしい自費メニューには、回数券や月額制のプランを用意する方法があります。1回あたりの価格は少し下がっても、通院が途切れにくくなるため、患者さん1人あたりの総額は増えやすくなります。

導入する際は、有効期限や返金の条件を書面で明示しておいてください。後から返金をめぐって行き違いが起きると、口コミで評判を落とす原因になります。

施術者ごとの単価を記録する

スタッフを雇っている院では、施術者ごとの1回あたり単価と再来率を月単位で記録しておくと改善点が見えてきます。同じメニュー表を使っていても、説明の仕方によって自費の選択率が倍近く違うことは珍しくありません。

数字を責める材料に使うのではなく、単価の高い施術者がどんな言葉で説明しているのかを院内で共有する使い方が効果的です。朝礼や月1回のミーティングで実際のやり取りを再現してみるだけでも、院全体の単価は少しずつ底上げされていきます。

単価を上げるときに気をつけたいこと

保険請求で単価を作らない

単価を上げたいからといって、保険施術で部位数を水増しする、負傷していない部位を請求に含めるといった行為は不正請求にあたります。施術管理者(受領委任を取り扱う施術所の責任者として届け出た柔道整復師)が受領委任の取扱いを中止されると、原則として5年間は再び受領委任を扱えません。院の存続に直結する問題です。

保険の単価は、正しく算定したうえで受け取る金額と割り切り、単価アップは自費や施術品質の側で取り組むのが筋です。

広告の表現に注意する

自費メニューを周知する際は、柔道整復師法による広告制限に気をつけてください。施術所の看板やチラシに書ける内容は法律で限定されており、「必ず治る」「肩こりが一回で解消」といった表現は認められていません。ウェブサイトの表現も含め、効果を約束する書き方は避けるのが無難です。

値上げは段階的に伝える

既存メニューの値上げをするときは、少なくとも1〜2か月前から院内掲示や受付で案内しておくと、患者さんの戸惑いを抑えられます。物価や人件費の上昇といった理由を簡潔に添えると、ほとんどの方は理解してくれます。一度に大きく上げるより、数百円ずつ段階的に見直すほうが離れる患者さんは少なくなります。

まとめ

整骨院の1人あたり単価は、保険施術中心なら1回1,000〜3,000円台、自費を組み合わせると4,000〜8,000円程度が目安です。保険の単価は療養費の料金表で決まり、令和8年7月の改定で後療料などが引き上げられた一方、2部位目の逓減も始まりました。院長が工夫できるのは主に自費施術の設計と説明の部分です。

単価だけを追いかけると、来院頻度や時間あたりの売上が下がって結局売上が伸びないこともあります。まずは自院の患者数、来院頻度、単価を数字で書き出し、どこを改善すれば効果が大きいかを確かめるところから始めてみてください。

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