コラム

往療料の算定基準とは?往療距離の算定方法や算定のポイントを解説!

施術者が患者さんのご自宅に訪問して施術を行う往療では、往療料を算定することができます。今回の記事では、往療料の算定基準や算定方法について詳しくご紹介します。

 

往療料とは

ご自分で歩くことが困難な患者さんを対象に、施術者が患者さんのご自宅に訪問し、施術を行うことを「往療」といいます。往療料は、いわば「出張料」のようなもので、往療の際の距離(片道4㎞以内または4㎞〜16㎞)に応じて算定することができます。

 

往療料の算定基準

往療料には算定の条件があります。基本的に自力での歩行が難しい患者さんのご自宅を訪問したときのみに算定できるものです。そのため、患者さんが杖やタクシーを使えば来院できるけれど、体調が悪いから来てほしい等の理由では算定できません。またあん摩マッサージ指圧師の場合は保険医による往療への同意も必要です。

詳しくは以下をご覧ください。

柔道整復師の場合

「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等(第3 往療料)」では、往療料について以下のように定められています。

①往療は、往療の必要がある場合に限り行うものであること。

②往療料は、下肢の骨折又は不全骨折、股関節脱臼、腰部捻挫等による歩行困難等真に安静を必要とするやむを得ない理由により患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に算定できるものであり、単に患者の希望のみにより又は定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には算定できないこと。

あん摩マッサージ指圧師・鍼・灸師の場合

「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について(第5章 往療料)」では、往療料について以下のように定められています。

①往療料は、歩行困難等、真に安静を必要とするやむを得ない理由等により通所して治療を受けることが困難な場合に、患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に支給できること。

②往療料は、治療上真に必要があると認められる場合(定期的・計画的に行う場合を含む。)に支給できること。治療上真に必要があると認められない場合、単に患家の求めに応じた場合又は患家の求めによらず定期的・計画的に行う場合については、往療料は支給できないこと。

往療距離の算定方法

往療距離の算定方法①

往療の距離は原則として、「施術所の所在地または保健所に届け出した所在地」と、「患者さんのご自宅など」の直線距離で算定します。

車や徒歩などで移動した距離ではなく、地図上の直線距離となります。ただし、施術所と患者さんの家までの間を大きく迂回しなければいけない場合など、直線距離と実際の距離が著しくかけ離れているときは、各保険者の判断で実際の移動距離で算定するケースもあります。

往療距離の算定方法②

片道16㎞を超える往療の場合は、往療がどうしても必要な理由が無い限り、往療費および施術料の算定が認められていません。つまり全額患者負担となります。片道16㎞を超える往療の距離とは、「施術者の所在地または保健所に届け出した所在地」と「患者さんのご自宅等」の直線距離を指します。

往療料が必要な具体的な理由とは、16㎞以内に保険医療機関や施術所がなく、また往療を受けざるを得ない事情があるなどといったことです。

往療距離の算定方法③

2戸以上の患者さんのご自宅を連続で往療する場合、2順位以降の患者さんの往療距離の算定は「それそれの先順位の患者さんのご自宅等を起点」とします。ただし、次順位の患者さんのご自宅までの距離よりも、施術所からの距離の方が近い場合は、施術所から次順位の患者さんのご自宅までの距離で算定します。

往療距離の算定方法④

介護老人福祉施設などを含む同一家屋内で複数の患者さんの施術を行った場合、1回の訪問につき1人分の往療料のみを算定します。同一家屋内に患者さんが5人いたとしても、往療料の算定は1人分です。ただし、保険医療機関に入院中の患者さんへの往療の場合は、療養費の支給はありません。

また、このケースでは複数の患者さんの負担がなるべく均等になるように配慮する必要があります。

往療距離の算定方法⑤

同一家屋内の複数の患者さんに施術を行った場合、往療料を均等に振り分ける必要がありますが、その場合の往療料は単位として振り分けます。そのため、1か月で調整しきれない場合は翌月以降にまたがって調整することになります。

往療料を算定する際のポイント

往療料を算定する際には、療養費申請書に「往療が必要である理由」を明記することが重要です。往療料は通院が困難な場合にのみ算定できるものです。そのため、通院の交通手段がない、高齢のためなどといった理由では認められません。また、柔道整復の場合は具体的な負傷部位や症状を記載しましょう。

ほかにも、あん摩マッサージ指圧師の場合は、保険医による往療の必要性の有無や往療の理由を記載した同意書も必要です。

 

まとめ

今回の記事では、往療料の算定について詳しくご説明しました。往療料の算定では様々な基準や条件がありますので、不正請求にならないように正しく算定しましょう。

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