コラム

接骨院・整骨院開業の流れとは?開業までの手順を13ステップで解説!

今回の記事では、接骨院・整骨院開業の流れについて、スムーズなスタートを目指すために必要なステップをまとめました。情報収集から資金調達、施術所の設計、人材採用まで、開業において大切なポイントを簡潔にご紹介します。

接骨院・整骨院の開業でお悩みの方は是非ご一読ください。

接骨院・整骨院開業の流れ①:施術管理者の要件を確認する

まずは、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いを管理する「施術管理者」としての要件を確認しましょう。以前は柔道整復師の資格のみで受領委任が可能でしたが、平成30年4月から新たな要件が導入されました。

変更後の具体的な要件は以下の通りです。これらの要件を全て満たしているかをチェックしましょう。

①柔道整復師の資格取得

②実務経験の取得:2022年(令和4年)4月から2024年(令和6年)3月までに届出する場合は2年間、2024年(令和6年)4月以降に届出する場合は3年間の実務経験が必要。

③2日間の施術管理者研修の受講

さらに届出書類には、従来のものに加えて、「実務経験期間証明書」の写しおよび「施術管理者研修修了証」の写しを添付する必要があります。

必要な資格・要件を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業に必要な資格・要件とは

接骨院・整骨院開業の流れ②:情報収集を始める

開業する際は、ご自身が思い描く理想の整骨院をイメージし、そのために必要な情報を収集することが大切です。信頼できる団体や医療機器メーカーなどが主催する整骨院開業セミナーなどへ積極的に参加し、多くの情報を集めましょう。

また、保険請求方法については、個人で請求する方法と団体に加入して行う方法の2つがあります。どちらもメリット・デメリットがあります。自分に適した方法を選ぶためにも、各団体の資料を取り寄せてみましょう。

接骨院・整骨院開業の流れ③:物件探し

物件探しの際に大切なのが開業エリアの選定です。ターゲット層や交通の便、近隣施設、競合などを予め調べておくことが重要です。例えば、高齢者や足腰が不調の人をターゲットにするならば、駅やバス停付近の立地がおすすめです。周辺に住宅街や大規模な団地がある地域もよいでしょう。

また、院の規模にも考慮する必要があります。個人で開業する場合は一般的に1床〜4床程度のベット数が目安です。医療機器や器具の備品を搬入する可能性も踏まえて検討しましょう。ターゲットや運営方針に合った最適な広さの物件を見つけることが大切です。

接骨院・整骨院開業の流れ④:事業計画を立てる

接骨院開業に向けて、具体的な実行計画を「創業計画書」としてまとめます。「創業計画書」は金融機関やスタッフ、協力業者などの第三者に、自分がイメージする接骨院の内容を理解してもらうために重要なものです。工事費や医療機器、家賃、人件費など、必要な資金を詳細に算出し、開業資金の総額を決定していきます。

「創業計画」を作成する際はまず、対象とする患者さんや開業予定のエリア、整骨院のコンセプトを考え、具体的な施術方針、提供する主なメニュー、レイアウトなどを含めたイメージと収益の予想計画を立てます。開業予定時期、施術所の場所、内装、スタッフの人数、健康保険と実費施術の取り扱いの割合、土・日・祝の施術時間設定なども考慮しましょう。

自分のイメージする理想の整骨院を具体化し、計画的に準備を進めていくことが大切です。

事業計画書の書き方については、以下の記事をご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業における事業計画書の書き方

接骨院・整骨院開業の流れ⑤:資金計画を立てる

整骨院開業では、工事費や医療機器、家賃、人件費など多くの費用が必要です。

 

まずはこれらを概算し、資金の大枠を決定しましょう。一般的には数百万円から1,000万円前後が必要だと言われています。大きな金額が必要なので、自己資金だけでは足りないケースも多くあります。そのような場合は以下のような資金調達の方法を活用しましょう。

①日本政策金融公庫

金利が安く、長期の返済が可能です。ただし、自己資金が借入の1/2〜1/3が必要となることに注意が必要です。

②銀行や信用金庫

実績があれば高額融資も可能です。保証協会をつけることが多く、融資内容の領収証が必要になります。

③リース

審査が早く、手続きが簡単で経費計上することができます。また、保証人が必要です。

④親族からの援助

一定額を超えると贈与税の対象になるため注意が必要です。

一般的には運転資金や保証金、工事費などは日本政策金融公庫や自己資金から調達し、医療機器はリースで購入する方が多いです。それぞれに合った資金の調達方法を選びましょう。

開業資金や資金調達の方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業資金や資金調達の方法とは

接骨院・整骨院開業の流れ⑥:商圏調査・開業場所の選定を行う

接骨院・整骨院を開業するにあたり、物件選びは極めて重要です。

まずは、ご自身が得意とする症状や年齢層に合った土地の候補をいくつか挙げましょう。実際に現地を訪れ、地域の雰囲気や周辺施設を確認し、コンセプトに合った場所を選定します。また、地域の人口や同業者の数や場所、繁盛している院のリサーチ、人の流れなども重要な調査対象です。

具体的には、商圏をしっかり把握し、半径1km圏内の人口や年齢層、世帯数を調査します。そして現地を何度も訪れ、施術メニューや使用する機器、スタッフの雇用、集客方法、保険請求などを確認します。物件選びでは、「居抜き物件」も選択肢のひとつです。居抜き物件では内装工事を行う必要がないため、初期投資を抑えることができます。

急いで決めようとはせずに、物件の設備や契約条件だけでなく、将来の事業展望に合わせた物件を探すことが大切です。

接骨院・整骨院開業の流れ⑦:施術所の設計・内装工事を行う

物件が決まったら、次は施術所の設計と内装工事に取り組みます。内装業者に相談する際には、保健所が定める「構造設備基準」を事前に伝えましょう。「構造設備基準」を満たしていないと開業することができませんのでしっかりと確認しておきましょう。

内装工事で大切なことは、施術の流れを考慮した動線や医療機器の設置スペース、コンセントの配置です。一度、ご自身で平面図にレイアウトを書き出してみるとイメージしやすいでしょう。

その後、開業している先輩や医療機器業者にアドバイスを求め、整骨院・接骨院の内装が得意な業者に相談して、正式なレイアウトを作成し工事を開始します。この際、電気総容量の確認も忘れずに行いましょう。

施術所の内装の要件などを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⇒柔道整復師の開業における施術所の内装とは

接骨院・整骨院開業の流れ⑧:医療機器を選定する

医療機器の選定は接骨院の経営において重要な役割を担っています。購入に関しては、メーカーやディーラーから直接購入する方法と、リースを活用する方法の2つがあります。

開業場所や患者層、施術方法に合った機器を中心に、予算内で優先順位をつけて選定しましょう。機器の選び方によっては、他院との差別化を図れる要因になり、繁盛院になる可能性もあります。

限られた予算の中で最大限の効果を上げるために、院のコンセプトに合った施術機器を慎重に見極めることが必要です。ご自身で体験してから購入するのもおすすめです。

また、機器の納品には時間がかかる場合もあるため、開業までに余裕をもって発注することを心掛けましょう。

接骨院・整骨院開業の流れ⑨:開業の届出・手続きを行う

開業前に必要な手続きや届出を怠ると、開業後すぐに保険請求の取扱いが始められない可能性があります。開業が決まったら、スムーズに必要な書類を揃えて提出できるよう準備をしておきましょう。また、提出してもミスなどがあると受理してもらえないこともあります。場合によっては提出先の機関に事前に相談しておくことも必要です。

主な開業に必要な手続きとして以下があります。

①開設届の提出

整骨院開業後、10日以内に保健所へ提出する書類です。

また、保険請求するためには厚生局への申請が必要ですが、その際にこの開設届のコピーが必要となります。開業初日は保険請求ができませんので、開設届の届出時はプレオープンとし、届出が受理されてから本格的なオープンとするケースが多いです。

②受領委任取扱いに係わる申出

契約記号番号を取得するために、管轄の地方厚生局に提出します。契約記号番号は、個人で保険請求を行う場合に必要なものです。

③各種共済番号の取得

国家公務員関係の保険者への請求は「共済組合連盟」に申請を、地方公務員関係の保険者への請求は「地方公務員組合協議会」に申請します。

自衛官関係の保険者への請求では防衛省への申請が必要です。

④税務署への届出

個人事業主として開業する場合は、所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。開業日から1か月以内に提出しましょう。

上記のほかに、労災保険を取り扱うための労災保険指定医療機関への届出や、生活保護を取り扱うための生活保護法等指定施術機関への届出などがあります。

届出や手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業における届出・手続きとは

接骨院・整骨院開業の流れ⑩:療養費の請求方法を決める

保険請求に欠かせないのが請求業務です。

特に受領委任制度を導入している施術所では、月末に「療養費支給申請書」を作成する必要があります。療養費支給申請書が多くなると施術者の負担となることもあるかもしれません。

請求業務には、施術者が請求ソフトなどを活用して直接行う「個人請求」と請求団体に業務委託する「請求代行」の2つの方法があります。

双方のメリット・デメリットを理解し、施術所の運営スタイルやスタッフの負担を考慮したうえで適切な方法を選択しましょう。

接骨院・整骨院開業の流れ⑪:オペレーション考える

オペレーションとは、ビジネスシステムの設計・マネジメントに関することです。

具体的には在庫管理なら「配置」や「仕入れ」、患者様対応なら「接客」や「シフト」、施術技術であれば「マニュアル化」「カリキュラム設計」などを考えることが含まれます。

特に人材を採用する場合は、院内オペレーションを検討することで、どんな人材が必要かを見極めることができます。

開業後も環境や要件が変化する可能性があるため、初期段階でざっくりとした概要を考えてみましょう。

接骨院・整骨院開業の流れ⑫:スタッフの採用と教育を行う

人材確保は困難を極める超売り手市場となっており、企業にとって重要な課題となっています。接骨院・整骨院も例外ではなく、人材の採用は大きな悩みとなっています。昔のやり方に固執せず、多様な考え方を受け入れる姿勢が必要です。

人材採用では「新卒」と「中途採用」の2つの選択肢があります。新卒は未経験者であり、成長を期待できる反面、教育期間が必要です。一方、中途採用は即戦力となる可能性がありますが、求める要望に合致するかをよく吟味する必要があります。

また、採用の際は整骨院のコンセプトやオペレーションに合っているのかどうかも大切です。

人材を採用したあとはスタッフの教育も必要です。院内で人材教育を行ったり、外部のセミナーなどに参加させたりするなどの方法があります。

接骨院・整骨院開業の流れ⑬:広告・宣伝を行う

整骨院開業の際は、多くの近隣住民の方に整骨院の存在を知ってもらう必要があります。

看板デザインや内装のテーマカラー、コンセプトイメージなどを意識しながら、チラシやホームページを作成しましょう。新規の患者さんの数は周辺の知名度に左右されます。

良いスタートを切るためにも、広告や宣伝活動に力を入れましょう。

広告・宣伝については、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業における広告・宣伝のやり方とは

接骨院・整骨院開業の流れ⑭:開業する

準備が整ったらいよいよ開業です。

経営を安定させるためにも、開業後も続けて技術や知識の向上に力を入れていきましょう。

接骨院・整骨院を開業する際の注意点

コンセプトを明確化する

他院との差別化を図り、経営を安定させるためには、明確なコンセプトが不可欠です。独自の魅力を備えた自費診療メニューや、24時間営業など、明確な強みを打ち出しましょう。

また、コンセプトを設定する際は、自身が得意とする施術や独自の技術を基にし、ターゲット患者層を明確にすることが重要です。

コンセプトについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業ですべきコンセプト設定とは

立地にこだわる

接骨院・整骨院の成功の鍵は、理想的な立地選びにあります。集客を促進するには、ターゲット患者層が多く訪れるエリアが重要です。例えば、オフィス街ではデスクワークによる疲労や肩こりを抱える人々を、住宅地に近い場所では家族連れや高齢者をターゲットにできます。立地選びはブランドやイメージ形成にも影響を与えるため、慎重な選択が必要です。整骨院の立地は売り上げに大きな影響を与えるため、まずはターゲットを明確にし、ターゲットの生活を理解した上で通いやすい場所を選定することが重要です。

立地選びについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業における立地選びとは

接骨院・整骨院の開業にあたってのQ&A

月の平均的な売上はいくら?

初年度の月売上は平均約90万円です。ただし、この数字は一定の来院見込みがある場合が多く、一からの集客が必要な場合はこの売上を達成するのが難しい可能性があります。

整骨院の成功には来院見込み客の確保や集客戦略が重要です。従業員を雇用するかどうかも月売上に影響を与えます。開業を検討する際には、現実的な見込みと戦略の検討が必要なのです。

接骨院・整骨院が廃業する理由は?

整骨院が成功するか否かは継続的な集客にかかっており、集客がうまくいかないと廃業へと繋がってしまいます。

集客手段として、店舗周辺住民への情報発信が不可欠です。ホームページ、ポータルサイトの掲載、折込チラシ、ポスティングが主な手法です。さらにブログやSNSも有効ですが、効果が徐々に現れるため、開業当初はポータルサイトやチラシを優先したほうがよいでしょう。

初期段階での適切な集客戦略が、整骨院の成功につながります。

まとめ【接骨院・整骨院の開業を流れ通りに進めるならジャパン柔道整復師会】

今回の記事では、接骨院・整骨院開業の流れをステップごとに解説しました。計画的に開業準備を行い、地域のニーズを把握しつつ、質の高いサービスを提供することで、信頼される接骨院・整骨院として開業できることを願っています。

また、接骨院・整骨院の開業までには多くの準備が必要です。今までの仕事と両立しながら開業準備をするのは大変なことも多いでしょう。

そこでおすすめなのがジャパン柔道整復師会です。

ジャパン柔道整復師会では接骨院・整骨院の開業から経営まで様々な面から手厚くサポートさせていただいております。特に開業支援では、開業セミナーや物件の紹介、商圏調査、融資書類作成サポートなど、様々なお手伝いをしています。

また、レセコンシステム「NOAH」やレセプトの請求代行なども行っています。経験豊富なスタッフがサポートさせていただくため、医療事務のストレスを軽減し、患者様への対応に集中していただけるかと思います。

接骨院・整骨院の開業や運営に関してお困りの際は、ぜひジャパン柔道整復師会にお問い合わせください。

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