コラム

整骨院の創業計画書を作成する際のポイントは?書き方と例文も紹介!

整骨院開業の第一歩は、しっかりとした整骨院の創業計画書の作成から始まります。この記事では、実現可能なビジネスプランの書き方と具体的な例文を通じて、あなたの夢を一歩近づける手引きをいたします。

整骨院における創業計画書の重要性

整骨院の開業を考える際、初期費用や日常の運営にかかるランニングコストが避けられません。

自己資金だけで開業するのは難しく、資金調達のための融資を検討する方が多いです。特に、施術に関する経験は豊富でも、経営に関する経験がないと、通常の銀行からの融資が受けられないことがしばしばあります。

そこで役立つのが日本政策金融公庫です。こちらは、創業者向けの特別な融資制度を持っており、経営経験が少ない方でも融資を受けられるチャンスが広がります。

そこで必須となるのが「創業計画書」です。

融資の審査では、あなたのビジネスプランの内容や妥当性、そして将来のビジョンがしっかりと評価されます。加えて、その計画書をどれだけ適切に作成できるかも、大変重要な判断基準となっています。

整骨院の創業計画書を作成する際の5つのポイント

整骨院の創業計画書を作成する際のポイントを5つお伝えします。

経歴・スキルをアピールする

たとえ経営経験がなくても、過去に整体院や他の関連施設での勤務経験や習得しているスキルがあれば、それをしっかりアピールしましょう。

そうすることで、あなたには専門性や信頼性があると、第三者からの評価が高まります。これまでのキャリアや特技を前面に押し出すことで、融資を考える際の信用度を一層向上させることができます。

顧客層を設定する

誰に向けてサービスを提供するかを明確にすることは、ビジネス成功の鍵となります。

年齢、性別、職業など、様々な属性からターゲットとなる顧客像を具体的に描写することで、その顧客の要望や課題に応える施術やサービスを提供できます。明確な顧客像があることで、施術内容やマーケティング活動の方向性が見えやすくなります。

差別化ポイントをアピールする

整体院の競合は数多く存在します。その中で自院の独自の価値やコンセプトを強調することは必須です。

競合との違い、あなたの強みやセールスポイントは何かを明確にし、それを事業計画にしっかりと盛り込むことで、他院との差別化を図りましょう。顧客が選ぶ理由を明確にすることが、集客の鍵となります。

差別化について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業ですべきコンセプト設定とは

現実的な売上予測をする

現実的な売上を予測するためには、同様の規模や立地条件を持つ整骨院の調査が欠かせません。

その情報を基に、どの程度の売上が期待できるかを算出します。無闇に高い売上を予測するのではなく、競合の実情に基づいた現実的な予測が重要です。

面談で矛盾しないように作りこむ

融資を受けるためには、融資担当者との面談が不可欠です。

この時、事業計画書の内容と口頭での説明が異なると、信頼性が低下してしまいます。整合性を保つことで、熱意と誠実さをアピールできます。事業計画書を作成する際には、自分の想いやビジョンが反映されているか常に確認しましょう。

整骨院の創業計画書の書き方と例文

整骨院の創業計画書の書き方と例文をご紹介していきます。

 創業動機

創業動機は事業計画書の中心となる部分で、その他の内容とのつながりも大切です。

これが事業の基盤となります。創業の背景や自身の考え、動機などを整理し、ブレのない確固とした内容をまとめることが求められます。

創業動機を書く際のポイント

創業動機を明文化する前に、自身の経験や開業に向けた準備を振り返ることが欠かせません。

これまでの業界経験、保有資格や開業に至るまでのステップを再確認することで、どのような思いや目的で整骨院を開業するのかを書きやすくなるでしょう。

 創業動機の例文

私は10年間、柔道整復師として多くの方々の身体の悩みを解決してきました。しかし、地域で増え続ける肩こりや腰痛を抱える人々の声に、もっと幅広く応えられる場を作りたいと強く感じています。そのために、独自のメソッドをもって、もっと多くの人々の健康のサポートをする整骨院を開業する決意を固めました。

 経営者の略歴

創業計画書における経営者の略歴は、通常の履歴書とは一線を画すものです。

ここでは、これまでのキャリアがどのようにして創業の動機へと結びついたのか、その背景にある経験や実績をしっかりと綴ることが重要です。あなたのプロフィールだけでなく、事業への熱意や信念が伝わるような文章を目指しましょう。

経営者の略歴を書く際のポイント

整骨院を開業する際には、柔道整復師免許は必須条件となります。その取得状況を明確に記載することが大切です。

また、それ以外の資格や、業務に関連する経験があれば、それも加えることで信頼性を高めることができます。ただし、許認可は業種や地域によって異なることがあるため、詳細の確認を忘れないようにしましょう。

経営者の略歴の例文

平成◯年△月 ××専門学校 卒業(柔道整復師免許 取得)

 

平成◯年△月 ××株式会社 入社(◯年)

 

(施術、売上管理、スタッフ育成等に従事。)

 

平成◯年△月 ××コンテスト 優秀賞受賞

 

令和◯年△月 個人事業主として創業予定

取扱商品・サービス

整骨院の創業計画書において、取扱うサービスの詳細は非常に重要です。

サービスの内容や売上のシェアから、どのような業務に重きを置くのかを具体的に示しましょう。例えば、保険を利用した診療と自費診療の比率をクリアにし、どちらのサービスに比重を置いて経営を進めるのかを明確にすることで、融資担当者に事業の全体像を伝えやすくなります。

①取扱商品・サービスを書く際のポイント

保険診療と自費診療のように、提供するサービスのカテゴリを明確に分けることが大切です。

各サービスの内容、価格帯、ターゲットとなる顧客層を明確にし、それぞれのサービスがどのように事業全体に貢献しているのかを明示することで、事業計画の説得力を高めることができます。

取扱商品・サービスの内容の例文

①保険治療(健康保険、自賠責保険、労災等):売り上げシェア60%

 

②自費診療(○○、△△等):売り上げシェア40%

③○○(××等):売り上げシェア○○%

②セールスポイントを書く際のポイント

整骨院の創業計画書において、セールスポイントはお店やサービスの独自性や差別化を伝える大切な要素となります。

具体的には、ターゲットとなるお客様の属性、例えば年齢や性別を考慮し、そのニーズに合わせたサービスの特徴をアピールします。さらに、独自の技術、お店が大切にしているこだわりをアピールポイントとして強調しましょう。

セールスポイントの内容の例文

「健やかな生活をサポートする」をモットーに、私たちの整骨院は、身体の悩みを抱えるすべての方を全力でサポートします。特に、当院では高齢者の方々にやさしいアプローチを大切にしています。シニア層に特化した治療プログラムの提供、バリアフリーに配慮した院内設備、そして患者様一人ひとりに丁寧に向き合っています。私たちの独自の体質改善プログラムは、長年の疲れやコリを和らげ、日々の生活をより快適にするお手伝いをいたします。

 ③販売ターゲット・販売戦略を書く際のポイント

「販売ターゲット・販売戦略」の部分では、どのようなお客様を主なターゲットとして捉え、そのお客様層に対してどのようにサービスを提供・広めるかの方法を明示することが求められます。

ターゲットを明確にした上で、その層に合致する宣伝や広告手法を考える必要があります。例えば、You Tubeの動画配信やチラシのポスティング、さらには口コミサイトの利用など、様々な戦略が考えられます。

重要なのは、その戦略がターゲットのニーズや行動パターンに合致しているかどうかを確認することです。

販売ターゲット・販売戦略の内容の例文

当整骨院の主なターゲットは、20〜40歳のアクティブな働き盛りの方々と位置づけています。この年代は、働く上での体の不調を抱えながらも、日々の業務に追われ対処が難しいと感じている方が多いと分析しています。販売戦略としては、主にオンラインプラットフォームを活用し、ターゲット層が頻繁に利用するYouTubeでの情報発信を行います。また、地域密着型のポスティングや、現在の患者様への口コミ促進キャンペーンも併せて展開し、地域に根差した信頼を構築していきます。

④ 競合・市場など企業を取り巻く状況を書く際のポイント

「競合・市場など企業を取り巻く状況」の記述では、ビジネスが展開される場においての周囲の環境を把握し、どういったアプローチで差別化を図るかの考察が不可欠です。

地元の整骨院や関連施設との競合状況、その営業時間や料金、サービス内容を調べ、どこに差をつけるかを明確にします。また、地域の特性を考慮し、その地域に住む人々のニーズにどう答えるのかを考察しましょう。

具体的な差別化のポイントや、ターゲットとなる層にどうアプローチするかを計画的に述べることが重要となります。

競合・市場など企業を取り巻く状況の内容の例文

当整骨院は、都心部のオフィス街に位置しており、多くのオフィスワーカーが通うエリアとなっています。近隣には3つの整骨院が存在しますが、私たちの整骨院は夜22時までの営業という、他院と比べて長い営業時間が強みです。また、価格面では、リーズナブルな料金設定を心掛けており、特に長時間の施術を希望するお客様からの評価が高いです。さらに、専門のトレーニングを受けたスタッフが在籍しており、専門的な施術が受けられる点も競合との差別化ポイントとしています。

 取引先・取引関係等、販売先

「取引先・取引関係等」の部分では、整骨院や接骨院がサービスを提供する際の主要な取引先や顧客の属性を具体的に示します。

言い換えれば、どのような層のお客様が主なターゲットとなるのかを明示することが求められます。この部分は、整骨院のビジネスモデルや、どのような顧客にサービスの提供を想定しているのかを明確にするために非常に重要です。

取引先・取引関係等、販売先の例文

 

取引先名(所在地) シェア 掛取引の割合 回収・支払の条件
販売先 一般個人(保険診療) 30%  日〆  日回収
一般個人(自費診療) 70%  日〆  日回収
仕入先   %  日〆  日回収
  %  日〆  日回収
外注先  日〆  日回収
 日〆  日回収
人件費の支払 末日締め 翌◯日支払い

 

従業員

整骨院の運営体制は非常に大切な要素であり、受付のスタッフやアシスタント、治療を行うスタッフの人数と配置を明記する必要があります。

想定される客数や整骨院の規模に合わせて必要な人数を検討し、その職務内容を詳細に記入します。

 従業員を書く際のポイント

整骨院の運営においては、必要な従業員数や役割を明確にすることが大切です。

そのためには、院の広さや利用される設備、営業日数、開院時間などの要素をしっかり考慮する必要があります。さらに、採用時の費用や月々の人件費など、経済的な側面も忘れずに計画に盛り込むことで、将来的な経営の安定を図ることができます。

従業員の例文

常勤役員の人数:0人

 

従業員数:2人 うち家族従業員:0人 うちパート従業員:1人

借り入れ状況

整骨院の創業計画書において、「借り入れ状況」は現在の債務を示す項目として重要です。ここには、すでにある借入金や返済の状況を具体的に記載する必要があります。特に、消費者金融からの融資など、商業的な信用に影響があるような借入れが存在する場合は慎重に記述しましょう。

借り入れ状況を書く際のポイント

借り入れ状況を明記する際は、事業に関連しない借入も含めて全て記載することが必要です。

住宅ローンや自動車ローンといった、私的な負債も盛り込みましょう。個人事業主の場合、事業収入が生活費や返済費に影響を及ぼすため、全体の金銭的なバランスを把握するための情報として重要なのです。

借り入れ状況の例文

 

お借入先名 お使いみち お借入残高 年間返済額
◯◯銀行 □事業□住宅□車□教育□カード□その他 ◯◯万円 ◯◯万円
◯◯奨学金 □事業□住宅□車□教育□カード□その他 ◯◯万円 ◯◯万円
◯◯ローン □事業□住宅□車□教育□カード□その他 ◯◯万円 ◯◯万円

 

必要な資金・調達の方法

創業における資金は事業を支える要となります。

特に自己資金の部分は慎重に計画しましょう。これはあなたの信用となるため、その出所や動きに不審な点がないかをチェックされます。自己資金が所謂「見せ金」、すなわち不透明な出所からの資金であると判断されると、貴重な信用が損なわれかねません。

 必要な資金・調達の方法を書く際のポイント

資金計画を練る際には、資金の総額とその調達手段を明確にしなければなりません。

具体的に、設備費には物件関連費(保証金や内装費)、購入する機材やインフラ(ベッド、レジなど)にかかるコストを織り込み、その見積もりをしっかりと提示することが求められます。

加えて、運転資金には人件費や家賃など、日々の運営に必要な費用を計上しましょう。

必要な資金・調達の方法の例文

 

必要な資金 見積先 金額 調達の方法 金額
設備資金 保証金

ベッド

内装費

診療機器

◯◯株式会社

◯◯株式会社

◯◯株式会社

◯◯株式会社

◯◯万円

◯◯万円

◯◯万円

◯◯万円

自己資金 ◯◯万円
親、兄弟、知人、友人等からの借入 ◯◯万円
日本政策金融公庫からの借入 ◯◯万円
運転資金 (内訳)

礼金、仲介手数料、前家賃、備品、人件費、光熱費、通信費等

◯◯万円 他の金融機関からの借入 ◯◯万円
合計 ◯◯万円 合計 ◯◯万円

 

事業の見通し

「事業の見通し」は事業計画書の中でも特に難易度が高い部分です。

貸し手側は、この部分であなたの事業の利益性や返済能力を評価します。ここには、確固たる根拠をもとにした説得力ある数字と解説を添え、自身の事業について細部にわたり真摯に考察を重ねましょう。

事業の見通しを書く際のポイント

事業の見通しを書く際、特に個人事業主の方は、得た利益からどのように生活費を捻出し、また、借入金の返済を行っていくのかを慎重にプランニングする必要があります。

重要なのは、売上の根拠をハッキリとさせ、その計算式も明示することです。計画が漠然としていては、信用を得ることは難しいでしょう。

細部にわたる具体的な計画を提示し、その現実性を強調しましょう。

事業の見通しの例文

 

創業当初 軌道に乗った後 売上高
売上高① ◯◯万円 ◯◯万円 【創業当初】

売上高◯◯円

保険診療:@◯◯円✕人数/日✕2日数=◯◯円

自費診療:@◯◯円✕人数/日✕2日数=◯◯円

人件費:◯◯円、家賃: ◯◯円

その他:広告費、光熱費、通信費、消耗品費、支払手数料など

【軌道に乗った後】

売上高◯◯円

保険診療:@◯◯円✕人数/日✕2日数=◯◯円

自費診療:@◯◯円✕人数/日✕2日数=◯◯円

人件費:◯◯円、家賃: ◯◯円

その他:広告費、光熱費、通信費、消耗品費、支払手数料など

売上原価② ◯◯万円 ◯◯万円
経費 人件費 ◯◯万円 ◯◯万円
家賃 ◯◯万円 ◯◯万円
支払利息 ◯◯万円 ◯◯万円
その他 ◯◯万円 ◯◯万円
合計③ ◯◯万円 ◯◯万円
利益①-②-③ ◯◯万円 ◯◯万円

 

まとめ

今回の記事では、創業計画書を作成する際のポイントと、実際の書き方について解説してきました。

創業計画書は、融資を受ける上で必要不可欠なもの。安定した整骨院の経営を目指すなら、避けて通れないものです。今回紹介した例をもとに、創業計画書を作成してみてください。

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